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債務整理とは?(第3回:個人再生)

債務整理とは?(第3回:個人再生)

 

(1)個人再生とは?

 

個人再生について詳細に解説しているWebページは多数ありますので、ここでは、非常に簡単な解説をするとともに、「どういうときに選択肢となるのか」をお伝えしたいと思います。

 

個人再生は、非常にざっくりと言いますと、借金の額を5分の1にして、その5分の1の額を原則3年間(裁判所が認めれば5年間)で返済していく手続です(借金の額が100万円以上であれば、100万円まで圧縮されます。)。

 

なお、借金の額が1500万円以上3000万円以下の場合は300万円まで圧縮され、借金の額が3000万円超5000万円以下の場合は10分の1まで圧縮されますので、相当な減額が見込まれます(ただ、一般消費者で住宅ローン以外に1500万円も借金がある方はそう多くはないでしょう)。

 

裁判所に認めてもらう手続きという点で、破産と変わりありません。提出を求められる資料も破産とほとんど同じです。

 

(2)個人再生のメリットと清算価値保障原則

 

個人再生のメリットは、担保権が付いていない財産が処分されないということです(ローンで買ったものは原則として引き上げられます。)。その代わり、自分の持っている財産の価額(清算価値)を債権者に保障しなければなりません。

 

例えば、150万円の保険(解約返戻金)を持っているが、複数の債権者に合計600万円の借金がある方がいたとします。この方が個人再生をしたとすると、600万円の5分の1である120万円を3年間で返済すればよい、とはなりません。

 

ここでは、自分の持っている財産の価額(清算価値)である150万円を3年間で返済するということになります(3年36回とすると月4万2000円弱の支払いとなります。)。なお、実際の支払いについては、どこかにまとめて支払うのではなく、各債権者に個別に支払っていくことになります(その合計額が600万円から150万円となるということです。)。

 

(3)個人再生のメリット・選択される方

 

個人再生手続では、「住宅ローンだけをそのまま維持しながら、住宅ローン以外の借金を5分の1に圧縮できることがある」という特色があるため、住宅ローンだけは維持したいという方向けの手続といえます。

また、どうしても動かせない財産がある方もこの手続きを選ぶことがあります。

さらに、破産と違って免責不許可事由が明示的に定められておりませんので、破産免責が厳しそうな場合も使えないか検討することになります。

 

(4)使えるかは各種書類の確認が必要

 

住宅ローンを維持したまま、他の債務は圧縮できるとなると、かなり都合のよい手続とも思えますが、いつでも使えるものではありません。

 

 

もし、住宅ローンを維持したまま、他の債務を圧縮したいというご希望がある方がいましたら、お気軽にご相談ください。なお、ご相談時において一定の方針を示すためには(最低でも)住宅ローンの契約書を確認する必要がありますので、ご相談時にはお持ちください。