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債務整理とは?(第2回:破産)

 

 

 

「債務整理とは?」第2回は、個人の方の破産についてご説明します。

 

(1)破産とは?

 

 自らが負っている借金を返済できなくなることは、珍しいことではありません。たとえ借入額がそれほど多額ではなくても、病気や家族関係等で返済が不可能となることも少なくないのです。

 

そうしたときに、簡単にいえば、返済が不可能な状態を一度リセットする制度(借金を返済しなくてよい状態に持っていく制度)が破産(免責)です。

 

 

(2) 破産のメリット・デメリット

 

<破産のメリット:返済不要となること>

 

 破産をした後は、破産前の借金については、返済が不要となります。もう借金返済に悩まされることはなくなりますので、大きなメリットといえるでしょう。

 

<破産のデメリット>

 

ア 財産を処分される場合があること

 

 破産は、返済ができない場合に認められます。多額の資産を持っているのに、その資産には手を付けずに借金だけ返済不要とすることは認められません。原則として、自分の資産をお金に換えて債権者に分配し、それでも借金が残る場合に破産が可能となります。

 

 どのような財産が処分されるかというと、非常に簡単にいえば、1つあたり20万円以上の財産と考えてもよいと思います(もちろん例外はあります。)。

 

 なお、破産をした場合、裁判所職員が家にやってきて、テレビや冷蔵庫やタンスに書類を貼られて取られてしまうというイメージをお持ちの方もいらっしゃるようです。

 実際は、破産をしたことでそのような事態に陥ることはありません。年金や給与の差押えを受けることもありません(債務整理をせずに借金を放置した場合、債権者による独自の債権回収によってそのような事態に陥ることはあります。)。

 

 また、自動車については、登録から6年経っていれば0円として扱われることが多いため、破産後も乗り続けることは可能です(高級車は別途判断されます。)。

 他にも、そもそも資産を処分されない場合(同時廃止にできる場合)や、処分を避けられる場合もありますので、詳細は弁護士に相談してみてください。

 

 

イ ローンが残っている場合、ローンで買ったもの(不動産、物品)を維持できないこと

 

 車のローンや住宅ローンが残っている場合、弁護士に依頼した時点で支払いをストップし、破産後は残ローンの返済は不要となります。

 とはいえ、ローン債権者は、車や住宅から優先的に返済を受けられる権利(所有権留保や抵当権)を設定していることが多いですから、ローンが返済できなかった以上、ローンで買った物品や不動産を破産後もそのまま持っておくことはできないことがほとんどです。

 

 

ウ 官報に掲載されること

 

 官報という国が発行している機関紙に氏名等が掲載されます。ただし、官報を読んでいる一般人はほとんどいないでしょうから、通常、自分の周囲の方に破産したことが知られてしまう可能性は低いといえます。

 

 

エ 将来にお金を借りにくくなること

 

 個人が破産をした場合、5~10年程度は借り入れの審査に通らない可能性があります。

 

 

オ 一定の職業に就いている方は、一定期間は仕事ができなくなること

 

 生命保険の募集人や警備員、税理士、弁護士等は、破産をすると一定期間は業務を行うことができなくなります。また、企業の役員(取締役等)も、役員でなくなることになります。ただし、一般の企業に勤めて一般的な仕事をされている方や公務員には特段問題ありません。

 

 

(3)まとめ

 

 破産は、借金の返済を不要としますので、経済的なメリットは大きなものがあります。

 とはいえ、デメリットもありますから、弁護士に相談した上で、適切な方針を立て、個々の問題に適切な対処をしていくことが必要です。

 

 当職は債務整理の相談も相当多数お受けしており、また、債務整理の過程で生じる問題に対処してきた経験も豊富ですので、セカンドオピニオンとしてもお気軽にご相談ください。