現在でも借金問題でお悩みの方は多数いらっしゃいます。
家計状況に鑑みて自力での返済が困難となる借入総額に至った場合、早期の対応をしなければ、雪だるま式に借金が増えていくことになるのです。
それでは、借金問題への対応方法にはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは、一般消費者向けの代表的な解決手段として、
1、任意整理 2、自己破産 3、個人再生の3つを紹介します。第1回は任意整理です。
1 任意整理
(1) 任意整理とは?
任意整理とは、弁護士と債権者(貸金業者)との交渉によって、返済回数を増やしたり、将来利息をカットしてもらうことを目指す手続きです。あくまで任意の交渉であり、強制力があるわけではありませんが、多くの債権者が分割回数を36回~60回に増やしたり、将来利息をカットしたりする解決案に賛同してくれています。
「借入額の元本は、きちんと返済するが、その返済方法を変更する手続き」と考えていただければ結構です。
(2)任意整理のメリット・デメリット
<任意整理のメリット:将来利息のカットによって得をする>
従来の契約通りに返済する場合、利息が付加されていますので、返済し終わるまでに相当な利息を支払わなければなりません。
例えば、あなたが、ある消費者金融から50万円を年利18%で借りていたとします。
返済額は、月額2万円とします。毎月2万円を振り込んで返済するということです。
あなたが返済の初月に支払う利息はいくらになるでしょうか。50万円×18%÷12か月ですので、7500円です。
そうすると、返済の最初に2万円を入金したとしても、7500円は利息として債権者に取られますので、元本の返済には1万2500円しか回りません。
それでは、翌月はどうなるでしょうか。
元本は、48万7500円になっています。その月の利息は、48万7500円×18%÷12か月で、7313円です。
2か月目に2万円を支払ったとしても、元本には1万2687円しか回りません。
結局、この条件では、完済するまでに13万2873円の利息を支払う必要があるのです。
複数の貸金業者から借り入れをしている場合、1社あたりに支払うことができる額も少額となりますから、なかなか借金が減らず、利息ばかりを支払っていることが多いわけです。
任意整理をすれば、多くの場合、この将来利息のカットが見込めますので、2万円払えば元本が2万円減ることになります(厳密には、銀行の振込手数料がかかります)。
そうすると、先ほどの例ですと、長い目で見れば13万2873円が浮くことになるのです。債権者の数が多かったり、負債額が多額だったりすると、より一層、メリットが大きいということになります。弁護士費用を加味しても経済的合理性はあるといえるでしょう。
<任意整理のデメリット:お金が借りにくくなる>
任意整理のデメリットは、お金が借りにくくなることです。
5年~10年程度の期間は、融資の審査に通りにくくなると言われています。
とはいえ、借金でお悩みの方には、借りることよりも返すことを考えなければならない方がほとんどですから、私は、将来借りることを考えるよりも、まずは返済に集中することをお勧めしています。
(続く)